
概要
前提として
ハリヨは滋賀県と岐阜県のみに棲息しています。しかし、滋賀県のハリヨの状態は遺伝子汚染や棲息域が減少しており決して良いとは言い切れません。そこで、我々は絶滅危惧種であるハリヨの保全方法を精査し、活動を広めることを目的として研究活動を行っています。ここでは、今までの研究内容と今後の方針を紹介します。
遺伝子解析
長浜バイオ大学との協力
私たちが、ハリヨの保全活動を行うにあたって、まず、調査河川のハリヨが遺伝的に交雑していないかを知る必要がありました。そこで、長浜バイオ大学の未来生物学研究所の方々と協力して遺伝子解析を実施、そして、調査河川のハリヨは遺伝子的に交雑していないことが分かりました。学校では詳しく知ることが出来ない遺伝子のことや、PCRに使うためのハリヨの尾ひれのサンプリングも体験させていただきました。また、バイオ大学内の研究所の中も見学させて頂き、とても興味深い体験となりました。


調査河川の流域調査
ハリヨの分布を知るために
次に、私たちはハリヨの生息域を把握するために調査河川での流域調査を実施しました。河川約16㎞を歩き、ハリヨの好む環境である「流れが緩やかで、水草が繁茂した水温15℃前後の湧水地」を探します。結果、私たちは、ハリヨの好む箇所を6か所その中でも2箇所ハリヨの生息を確認しました。
標識再捕法での全数調査
棘条切断による全数調査
私たちは、調査地点に棲息しているハリヨの数を知るために、標識再捕法を実施しました。標識は魚体への安全性と持続性、効率の観点から棘条切断を選択しました。棘条切断とは、ハリヨの背中に生えている棘の一部を切断する方法です。棘条切断を使った全数調査の結果1㎡あたり約9.22匹と判明し、極めて高密度な生息状況と判明しました。しかし、個体数が一か所に密集していることから、一つの生息地点を天災や人災により失うことで多くの個体を失うことに繋がります。


今後の方針
2つの観点による繁殖時期の明瞭化
今年度は、ハリヨの繁殖時期の明瞭化を行います。調査地点の水位は深く水底を見ることは不可能です。よって、調査中にハリヨの巣を壊してしまいハリヨの繁殖を妨げてしまう可能性があります。そこで、我々は、長浜バイオ大学未来生物学研究所の方々と協力し、環境DNAを用いた個体数 の増減と、ハリヨの体長分布から繁殖時期を推測します。環境DNAや体長分布は科学部としても新たな試みのため魚班一丸となって研究活動を行います。